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田母神航空幕僚長の侵略戦争美化・憲法攻撃の論文について

2008年11月1目 憲法会議事務局長 長谷川英俊
               平井  正

1、航空自衛隊トップの田母神俊雄・航空幕僚長が「我が国が侵略国家だったというのは濡れ衣だ」と主張する論文を書き、アパグループの懸賞論文に応募していた。そこでは、日本の侵略戦争や植民地支配について「侵略は濡れ衣」と正当化し、集団的自衛権の行使を禁じる現行憲法を「東京裁判のマインドコントロール」などと攻撃している。

これに対し、政府は10月31日、この論文は侵略と植民地支配を謝罪した村山談話を逸脱するとして田母神氏を更迭した。

2、しかし、ことは更迭で済む問題ではない。田母神氏はこれまでも、イラクでの空自の活動は違憲・違法とした名古屋高裁判決に対し「こんなの関係ね−」と切り捨てるなど憲法無視の発言を繰り返し、世論の厳しい批判を浴びていた。にもかかわらず、政府・防衛省は幕僚長に据え続けていた。

 このことは麻生首相自身が、日本の侵略戦争を正当化する「靖国」派の日本会議国会議員懇談会の特別顧問を務め、目本会議議連の役員を多数入閣させて「改憲タカ派内閣」を発足させたことと深く結び付いている。

 現に麻生首相は、就任直後の国連演説で、憲法違反の米軍等への給油活動の延長を表明し、

現地の記者会見では、解釈改憲による集団的自衛権行使に踏み出すことを公然と語った。

 しかも自民党は、今行われている新テロ特措法の延長の企てに続き、民主党と連携して、解釈改憲による集団的自衛権行使、海外での武器使用の自由化をはかり、日本をアメリカと共に戦争をする国にしようとしている。今回の論文はこうした動きを背景に生まれたものに他ならない。

3、今年5月の読売新聞世論調査のように海外派兵と改憲に反対する世論は確実に前進している。また31日には「沖縄ノート訴訟」で、大阪高裁が「集団自決」への軍関与を認め、歴史のすり替えを退ける判決を下した。

 今回の論文は、こうした世論や日本社会の動きに挑戦するものであり、戦前の日本の侵略戦争が「軍部の独走」によって拡大していったとされることをも想起させるものである。自衛隊幹部が公然と憲法を非難するような言動をしていることはいささかも軽視できない

 憲法会議は、田母神問題の国会での徹底審議を求め、侵略戦争の正当化、改憲派の巻き返しを許さず、改憲大連立の根を断ちきるために全力をあげる決意である。

以上


2008年5・3憲法集会
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憲法改悪阻止各界連絡会議第43回総会方針 (2008年3月22日) 


新テロ対策特別措置法案再可決の暴挙に抗議し、
自衛艦のインド洋再派遣に反対する

2008年1月11日   憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)

 1、政府・与党は、1月11日、参議院本会議で否決された新テロ対策特別措置法案を衆議院本会議で再可決しました。国民の多数は、この間の世論調査でも明らかなように、自衛隊によるインド洋上での給油活動の再開も新テロ法案の再可決も望んでいません。憲法会議は、主権者である国民の意思を踏みにじり、政・財・官の軍事利権構造の疑惑解明が強く求められているなかでの暴挙に怒りを込めて抗議します。

 2、新テロ法は、アメリカの無法な報復戦争支援法であり、日本政府ですら、憲法第9条のもとでは許されないとしている集団的自衛権の行使に他なりません。アフガニスタンやイラクでテロ行為が拡大する深刻な事態は、戦争でテロがなくせないことを鮮明にしています。日本がとるべき道は、憲法第9条の原則にたち、非軍事手段で紛争を解決することをめざして自主的外交の努力を重ね、国際世論と共同行動を発展させることです。

 3、違憲の新テロ法を制定するために、憲法第59条第2項の再可決条項を行使することは許されません。憲法第59条第1項が「法律案は・・・両議院で可決したとき法律となる」としているように、法案成立は両院一致が原則です。再可決は、あくまで民意を反映させるための例外です。しかも、与党の衆議院での多数議席は2005年、小泉首相下の「郵政選挙」で得たものでしかありません。直近の民意は、昨年7月の参議院選挙結果とその後の世論調査に示されています。これらの点から、再可決は、とうてい、許されません。

 4、政府・与党は、新テロ法の成立を契機として、海外派兵恒久法制定の動きを一段と強めようとしています。憲法会議は、自衛艦のインド洋再派遣に反対するとともに、解釈改憲を新たな段階に進める海外派兵恒久法の制定など、いかなる自衛隊の海外派兵の企ても許さず、改憲阻止の国民多数派を形成するために、引き続き全力をあげる決意です。

以上

改憲手続き法の成立にあたって
2007年5月14日 憲法改悪阻止各界連絡会議 

 政府・与党は5月14日の参議院本会議で、改憲手続き法案を与党の賛成で可決・成立させました。

 私達は、憲法における国民主権の行使にかかわる重要法案を、参議院では中央公聴会も開かず、審議もつくさないままに数の力で採決した暴挙を認めるわけにはいきません。とりわけ国民が最低投票率を定めることなどを求めるなか、これを踏みにじって強行したことを許すことは出来ません。こうした採決日程に合意し、法案成立に加担した民主党の責任が免れないことも当然です。心からの怒りを込め、厳しく抗議するものです。

 この間の憲法改悪反対・九条守れの多様な運動と結んで、改憲手続き法案反対の運動は世論を大きく変え、今後のたたかいの展望を切り拓いてきました。憲法60年の2007年5・3記念日行動は、日比谷集会に6000人、パレードに7000人が参加したのをはじめ、私たちの調べでは、全国で3万5千人が行動に参加し、その数は、昨年をはるかに上回っています。対照的に、改憲勢力が鳴り物入りで開いた「新しい憲法を作る国民大会」の参加者が700人であったことは、国民世論の反映にほかなりません。

 このようななかで改憲勢力は、自・公・民合作の共同改憲路線を目指しましたが、改憲手続き法案は結局、与党と民主党が個別に提案せざるを得ず、端緒で破綻せざるを得ませんでした。この背景にあるのも、この間の世論調査がくっきりと示した改憲派の減退、改憲反対派の増加という国民世論の変化です。

 しかし安倍内閣は、改憲手続法の成立を契機に、新憲法制定集会を全国で開催し、改憲世論を一気に盛り上げ、9条改憲の多数派形成をねらっています。また、夏の参議院選挙で改憲を争点にし、憲法審査会の設置を経て、改憲原案の事実上の審議を急ごうとしています。また軽視できないことは、先日の日米首脳会談で、安倍首相が集団的自衛権の行使を憲法改訂前にも可能にすると対米公約し、「安全保障の法的基盤の再構築に関する有識者懇談会」や自民党の「集団的自衛権に関する特命委員会」に早期に結論を取りまとめさせようとしていることです。

 安倍内閣の憲法九条破壊・改憲をめざす強権政治は、今後、矛盾をますます広げずにはいられません。憲法9条を変えてアメリカのために戦争をする国づくりは、根本において国民の願いに反し、アジアと世界の平和の流れに反するからです。

 いま国民は、朝日新聞の世論調査が示すように、安倍政権の下で歴史の書き換えや戦争美化とともに進められる改憲に警戒心を高めています。その流れはさらに広がろうとしています。

 憲法会議は、「憲法改悪反対・9条守れ」のゆるぎない声を国民の多数にし、発議を断念させ、改憲を阻止するために、憲法学習を強め、職場・地域に「九条の会」を無数につくり、草の根からの共同の発展をめざして全力をあげる決意です。


2007年5・3憲法集会の記録
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憲法改悪阻止各界連絡会議第42回総会方針 (2007年3月3日) 


2006年5・3憲法集会の記録
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自民党「新憲法草案」に抗議し、改憲の企てに反対する
学習・宣伝を強め、共同の輪を大きく広げましょう
――自民党の「新憲法草案」採択にあたって
2005年11月22日        憲法改悪阻止各界連絡会議

 自民党は本日、結党50周年の党大会を開き、「新憲法草案」を採択しました。これは、平和を願う日本国民はもとより、アジアと世界の諸国民にたいする許し難い挑戦であり、私たちは怒りをこめて抗議するものです。
 自民党が決定した「新憲法草案」の最大の焦点は、九条二項の制約をすべて取り払って、日本を「海外で戦争する国」にすることにあります。それが、アメリカにつき従った軍事行動を世界規模に拡大するためであることは、10月末に発表された日米安保協議委員会「中間報告」によっても明らかです。かつての侵略戦争への反省をかなぐりすてるばかりか、戦争の違法化に向けた世界の大きな流れに逆行するものです。
 同時に「新憲法草案」は、「国防の義務」や「愛国心」を盛り込み、「公益及び公共の秩序」を最優先させ、生存権を含む国民の自由や権利を制限する意図をあらわにしています。これは、「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」を取り入れた日本国憲法の精神を根本から否定し、憲法を再び国民抑圧の道具に置き換えようとするものです。
 自民党はこの「新憲法草案」を掲げて、改憲発議に必要な三分の二の確保をめざして民主党、公明党との協議を開始しようとしています。また、国民投票における過半数の同意をめざし、大々的なキャンペーンにうって出ようとしています。しかし、9条改憲に賛成が30%、反対が62%との世論調査の結果(10月5日、毎日新聞)などにも見られるように、多大な犠牲をはらって手に入れた第9条を守ることこそ、国民の強い願いです。昨年6月に発足した「九条の会」のよびかけへの共感が、思想・信条、政党支持の違いを超えて大きく広がり、1年余で地域や分野別の「会」が3000を超えるに至っているのはそのあらわれです。
 9条を守りたいとするこの国民の願いをさらに固め、広げ、いち早く過半数の世論を結集すること――ここに憲法の改悪を許さない最大の保障があります。そのため、私たちは次のことをよびかけます。
 一、日本国憲法、とりわけその第9条の先駆的・先進的価値を学び、人類の進歩の歴史に背をむける自民党「新憲法草案」を批判する学習・宣伝・対話の大きな波をおこしましょう。
 一、「九条の会」アピールに賛同する「会」を数万の規模に広げるなど、思想・信条・政党支持の違いを超えた共同をさらに大きく発展させ、どんな攻撃もはねかえすことができる国民的な団結をつくりあげましょう。


2005年5・3憲法集会の記録
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2005年5・3憲法集会に5000人
 
 


2004年5・3憲法集会の記録
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2004年5・3憲法集会に5000人
 実行委主催の5・3集会は、会場の日比谷野音からあふれ出る参加者の熱気で、途中襲った小雨も吹き飛ばし、憲法改悪・イラク派兵をやめさせる国民的な願いと意志を強くアピール。 
 写真上はうたごえ合唱団のプレコンサート。下はザ・ニュースペーパー演ずる小泉首相に笑い転げる参加者。
9条守り日本と世界の平和な21世紀を
  「5・3憲法集会実行委員会」がアピール発表(2003年10月31日)
 「5・3憲法集会実行委員会」の事務局団体の代表は記者会見をおこない、 アピールと、ポスター、ロゴマークの募集要綱を発表しました。
  新しいリーフレットの活用を!
  「憲法を変える大きなうごき」、「徴兵制の導入も可能に」、「9条改悪は福祉を切り捨てる」などをQ&A方式でイラストも多用しながらわかりやすく解説。

  04年3月27日完成
 カラー刷りA5版8頁
 定価30円・〒別
   (多数部割引き)
憲法改悪の動きに断固として反対の声を上げましょう
憲法会議・拡大常任幹事会のアピール (2003年9月23日)