憲法しんぶん速報版

42号

いま憲法9条の精神生かすとき

憲法施行56周年「中間報告」批判し宣伝

 中央・東京両憲法会議は、憲法公布56周年の11月3日、銀座・マリオン前で宣伝行動をおこない、全労連、共産党、民青、国公労連、全教、自由法曹団の代表が1日の衆院憲法調査会「中間報告」を批判しながら、「米のイラク攻撃反対、有事3法案は廃案に 輝かそう憲法9条、日本と世界に」と訴えました。

改憲の土台づくり許さず 

11月1日、衆院憲法調査会が多数決というやり方で「中間報告」を決定したことは、「議案提案権をもたない」とする調査会の性格にてらして異常なものでしたが、多くのマスコミがこれを「改憲案への一歩」と報じたことも異常なことです。

憲法会議は1日、川村事務局長談話を発表し、「中間報告」が調査会の論議を正確に反映したものでないことを批判するとともに、この報告書を改憲案の土台づくりに使うことに反対することを強調しました。

憲法会議では、今後の調査会の動きに監視と批判をさらに強めることにしており、3日の宣伝行動につづき、

《憲法公布56周年シンポジウム》
輝け憲法!21世紀の日本と世界に

◆日時 12月14日午後1時
◆会場 新宿農協会館
◆報告 
 *改憲の動きと憲法調査会
南山大学教授 小林 武 
 *教育基本法の改悪がめざす国民像
  明治大学教授 三上昭彦 
 *米のイラク攻撃と有事法制
       (交渉中)
◆参加費 500円

12月にはシンポジウムを開催することとし、『月刊憲法運動』12月号でも、「中間報告」を全面的に紹介・批判する特集を予定しています。

主要各紙の「社説」から

       (いずれも11月2日)

生きた憲法論を交わす時

【朝日】 「憲法問題の行方を具体的にさし示したものではない。委員を務めた議員や参考人の発言を分野別に並べた、いわば論点整理」と評価。そして、「憲法改正への賛成が反対を上回る近年の世論調査でも、9条改正となると反対が7割以上を占める(01年4月の朝日新聞調査)。軍事的役割の際限ない拡大に対する歯止めとして、国民の多くは依然9条を高く評価している。…ときあたかも、世界は相次ぐテロやイラク攻撃をめぐって大揺れし、日朝問題は核や拉致問題で緊張のさなかにある。いずれも、憲法と重ね合わせながら日本の姿勢を考えなければならない深刻な課題だ。国民の前で生きた憲法論を戦わせるよい機会」としている。

古い対立の枠超えた集約を

【毎日】  「中間報告はすべての政党の賛成が得られなかったとはいえ、歴史的といってもいいだろう。とくに若い委員が改憲のための改憲、護憲のための護憲といった硬直した態度ではなく、党派を超えて21世紀の日本のあり方から憲法論を展開している。この変化は大事にしてほしい」と評価。「世論き憲法見直し論が多数派であるが、詳細に分析すると、政治が変わってほしいという期待が見直し論につながっている要素を見逃せない。…国会の憲法論議に対する国民の目は厳しいことを自覚しなければならない」

改憲への意見集約に入る時だ

 【読売】 「委員や参考人の発言を整理しただけではあるが、2つのことが明瞭に浮かび上がる。憲法のどこを改めるべきかという点と、護憲を掲げる共産、社民両党を除く与野党の委員のほとんどが、基本的に憲法改正の必要性を認識している、ということだ」と評価。早急に意見集約をすすめるため、「各党が、党内の意見を一本化すること」を求めるとともに、「差し当たって可能なことは、改正手続の不備を補う憲法改正国民投票法を制定すること」としている。

最終報告へ実りある見直し論議を

 【日経】  「見直しの方向性は出していないが、いくつかの重要な論点は浮かび上がっている」と評価。「日本の再生には憲法にまで踏み込んだ根本的な改革が必要であり、護憲対改憲の対立構造はすでに時代遅れ」としている。

関心の薄さが心配だ

【東京】 「戦争放棄をうたった第9条、安全保障や国際協力の在り方が焦点になるのは自然だったし、人権の保障など幅広い分野が論じられたのは、多くの国民の許容するところ」とし、「残り日数からすれば、いよいよ現行憲法の逐条審査は避けて通れない。政党の側も意見集約と態度決定を迫られよう。…国民の関心が極めて乏しいこと、国の基本を論じる政党と政治家が不信の渦中にあることを思うとき、論憲を歓迎する私たちも先行きに不安を覚える」