41号
衆院憲法調査会が「中間報告素案」
改憲論議の盛り上げねらい
衆院の憲法調査会の中山太郎会長は10月15日、これまでの論議の「中間報告素案」を提示しました。「これからの論議をどこに進めていくかつめる必要がある。そのステップ」というものですが、中山会長はすでに、今後条文ごとの論議を行い、二年後には採決をしてでも両論併記ではない最終報告を出すと語っていす。
623頁のぼう大な「報告素案」
「素案」はA4版623頁のぼう大なもので、つぎのような構成となっています。
第1編 憲法調査会設置の経緯
第2編 憲法調査会の設置の趣旨とその組織及び運営
第3編 憲法調査会の調査の経過及びその内容
第4編 資料
「中間報告」の最大の焦点となるのは、第3編第3章「憲法調査会における委員及び参考人等の発言に関する論点整理」です。「素案」でもこの部分が469頁を占めています。注目されるのは、「論点整理」の仕方です。
<日本国憲法公布56周年記念>
街 頭 演 説
◇と き 11月3日
10時〜11時
◇ところ 有楽町マリオン前シンポジウム
◇と き 12月14日 午後1時〜4時
◇ところ 新宿農協会館
◇報告者とテーマ
*衆院憲法調査会「中間報告」
南山大学教授 小林 武
*教育基本法改悪の動向
明治大学教授 三上 昭彦
*イラク問題と有事法制
(交渉中)
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憲法の条文に沿って柱立て
調査会のこれまでの論議は、「憲法の制定経緯」、「21世紀の日本のあるべき姿」、国民主権と政治機構・基本的人権・国際社会・地方自治の4つの小委員会にわかれてのものでした。
しかし、「素案」は、あらかじめ「構成案」でも予告されていましたが、「総論」につづいて、前文、天皇制、第九条、基本的人権…と憲法の条文に沿った柱がたてられ、その柱がさらに細分化された項目からなりたっています。たとえば、前文についてはつぎのようになっています。
(1)前文全般に関する認識
A前文の意義、意味などに関する発言
a9条との関係等に関する発言
bその他の発言
B前文の問題点を指摘する発言
a翻訳調であるなど日本語としての不適切さを指摘する発言
b前文は理想的過ぎるなどの発言
c日本独自の文化や伝統等を明記すべきとの発言
dその他の発言
(2)前文中の特定の文言や表現に対する認識
A「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」の部分に関する発言
B「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」の部分に関する発言
C「平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)に関する発言
a「人間の安全保障」との関わりに触れた発言
bその他の発言
Dその他の発言
(3)前文の裁判規範性
(4)その他
この柱だてを見ただけでも、「中間報告」をまとめるねらいがうかがわれるのではないでしょうか。そして、いうまでもなく、いちばん詳細なのは9条関係で、細目だけで100項目を越え、115頁におよびます。
委員らの発言を切り取って
「論点整理」は、この項目にそって、これまでおこなわれた委員・参考人の発言のなかから該当する部分だけを切り取ってあてはめていくという形でおこなわれています。違うテーマの発言でも、たまたまその項目に触れただけのものも採用されています。
改憲論だけでなく護憲論もあり「両論併記」で公正のようにみえますが、調査会の力関係を反映して委員・参考人の発言は改憲論が圧倒する状況となります。そこに、この段階で「中間報告」に固執する理由があるといえます。
調査会での民主的手続無視か
新聞報道によると、「中間報告」は11月1日に綿貫衆院議長に提出される予定といいます(2日は土曜、3日は日曜で提出儀式ができない?)。15日に提示した620頁にものぼる「素案」を半月で完成させるというのは、実質的な審議をしないという意味です(ちなみに「素案」が配布されたのは、調査会の幹事とオブザーバーのみ)。
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