35号
解釈、明文両面からの改憲攻撃
来年の通常国会に向け、さまざまな策動
第135臨時国会は、テロ対策を口実にした自衛隊参戦法案の強行をはじめとして、第九条のじゅうりんをさらに大きくすすめた戦後最悪の国会として終ろうとしています。しかも改憲勢力は、これにとどまらず、さらに来年1月からの通常国会に向け、解釈、明文からの改憲をめざして早くも動き始めています。
有事法制整備
中谷防衛庁長官と山崎自民党幹事長は12月5日会談し、日本が武力攻撃を受けた場合の有事法制の整備について、通常国会に関連法案の提出をめざすことで一致しました。これに関連し、自民党首脳は記者団に、「臨時国会では国連平和維持活動(PKO)法改正案など国際協力の面が先行したが、(自衛隊の)本来業務は国土防衛なので、来年の通常国会は有事法制整備が主たるテーマになる」と語っています。
有事法制については、1978年から防衛庁において公然たる研究が開始され、1981年に防衛庁所管の法令に関する中間報告(第一分類)、1984年に防衛庁以外の省庁が所管する法令に関する中間報告(第二分類)が出されています。そして2000年3月、自民、自由、公明の与党3党の間で法制化を推進することで合意、小泉首相は今年6月、防衛庁に立法化に向けた作業を指示しています。
集団的自衛権行使等
11月28日、「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が結成されました。「この際、我が国の『自衛権行使に係る考え方』を根本から見直す必要があると我々は考える。その上で、これまで対処療法的に積み上げられてきた我が国の安全保障に関わる諸法制を総合的に再検討し、『安全保障基本法』をはじめとする関連法の体系的な整備をすることが急務である。さらには、新しい憲法の創造をも視野に入れて対応すべきと考える」(設立趣意書)というもの。具体的課題として、
・PKO法の本格的な改正
・安全保障基本法の制定
・危機管理法制(有事法制)の整備
・防衛庁の「省」への昇格
・新しい脅威に対抗しうる防衛力の整備
を掲げています。
なお、同会には、自民、公明、保守、民主、自由、無所属の会から101人が参加。代表世話人は武見敬三議員。
憲法改正国民投票法案
憲法調査推進議員連盟(中山太郎会長)は11月16日総会を開き、憲法「改正」の発議にかかわる国会法「改正」案と、国民投票の手続を定めた憲法改正国民投票法案をまとめました。議員連盟に所属する議員がそれぞれの党の了解を求め、通常国会への提出をめざします。
国民投票(憲法第96条)の手続を決める法案がつくられるのは、1953年に第三次選挙制度調査会の答申を受けて当時の自治庁が作成していらい2度目。この時は、憲法改悪の準備作業とする国民の反対を恐れて国会に提出されませんでした。
今回の法案では、改憲発議は、衆院は100人、参院は50人の賛成を必要とする、国民投票では改憲案に賛成は○、反対は×を投票用紙に記入する、などを盛りこんでいますが、通常の選挙と同様に公務員、教職員、外国人の国民投票運動を禁止するなどの問題点をはらんでいます。なお、議員連盟の会長以外の顔ぶれはつぎのとおり。
副会長=林義郎(自民)、北澤俊美(民主)、小川勝也(民主)、野田毅(保守)、扇千景(保守)、粟屋敏信(無)
最高顧問=中曽根康弘(自民)、羽田孜(民主)、海部俊樹(保守)
顧問=葉梨信行(自民)、高鳥修(自民)、片山虎之助(自民)、鹿野道彦(民主)、坂口力(公明)、神崎武法(公明)、太田昭宏(公明)、藤井裕久(自由)
幹事長=谷川和穂(自民)
12・3に街頭宣伝
憲法会議は12月3日、定例の「3の日宣伝行動」をJRお茶の水駅で実施しました。この日は、PKO等協力法改悪をめぐる国会情勢が緊迫したことから自衛隊派兵反対共同センターも合流し、約20人が参加し、チラシ配付と宣伝カーからの訴えをおこないました。
2002・5・3の検討開始
今年の5月3日、広範な勢力を結集して「5・3憲法集会」を成功させた実行委員会の事務局をつとめた諸団体は、12月20日に会議をもち、通常国会にどう臨むかなどについて意見交換を行うとともに、来年の5月3日にどう対応するかの話し合いをおこなうことになりました。
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