憲法しんぶん速報版

33号

小泉首相が異常な憲法“解釈”連発

  憲法公布55周年の諸行動成功を!

 これまでの政府の憲法解釈をも大きく上回って第9条を侵害するテロ対策特措法案等の審議のなかで、しばしば答弁不能に陥っている小泉首相は、憲法学の常識をまったく無視した異常な憲法解釈を展開し窮地を逃れようとしています。各地で計画されている憲法公布55周年記念行事は、その糾弾の重要な場です。

《前文と9条のすき間》小泉首相は、「憲法の前文と第9条の間のすき間」をうめるものがテロ特措法と述べ(5日)、ついに憲法9条は「国際常識にあわないところがある」とまでいいました(23日)。小泉首相は、前文が「全世界の国民が、…平和のうちに生存する権利を有する」とし、そのための国際協調を唱えていることには目をつぶり、国際協調を武力でアメリカに貢献する意味におきかえているから第9条と“矛盾”しているように見えるのです。しかも、憲法の平和主義は国連憲章の平和の精神をさらに徹底させたものであり、これを「国際常識にあわない」とするのは、首相が「国際常識」を知らないことを意味するものです。前文の精神のつまみぐい、我田引水の典型です。

憲法公布55周年

街頭宣伝に参加を

 自衛隊派兵の企てに反対し、くらしや権利を守ることを訴えましょう。各団体から多数ご参加ください。
◇とき 11月3日
    午前10時〜11時
◇ところ 銀座マリオン前

主催=中央・東京憲法会議

《国際社会の基準と違う》テロ対策特措法案に盛り込まれている米軍支援の内容は、NATOが集団的自衛権の行使として決めた内容とほぼ同じものです。ところが、小泉首相は、「世界の見方と日本国内の見方は違う」と、同じ行為をしても日本の場合には集団的自衛権の行使にあたらないと答弁しました(10日)。ひとりよがりもはなはだしいものであり、「自国のことのみに専念して他国を無視」する見本です。

《最高裁が自衛隊を合憲とした!》「最高裁判所は自衛隊は合憲であるという判決を下している」と、事実とまったく異なる発言まで飛び出しました(23日)。これまで最高裁が自衛隊についての憲法判断を回避していることは、今国会の代表質問で、自民党の山崎拓幹事長が、最高裁は自衛隊についての憲法判断を放棄していることに不満を表明したばかりです。
 小泉首相が根っからの改憲論者であることはこれまでの言動でも明らかですが、実は憲法にたいする初歩的な知識すらもちあわせていないことをこの間の発言はばく露しました。

憲法調査会も動き出す

3回目の地方公聴会は愛知県で

 衆院の憲法調査会は、年内の調査について、つぎのような日程を決めました。いちおう、これまでの「21世紀の日本のあるべき姿」についての論議を継続する形をとっていますが、個別のテーマを設定していること、さらに、地方公聴会も含めて第9条問題を前面に押し出そうとしていることが特徴です。(参院は自民党の主要な理事に変動があったため、会議を開いていない)
○10月25日 21世紀の日本のあるべき姿=国際連合と安全保障
 参考人/大沼保昭(東京大学教授)、森本敏(拓殖大学教授)
○11月8日 21世紀の日本のあるべき姿=統治機構に関する諸問題
 参考人・未定
○11月29日 21世紀の日本のあるべき姿=人権保障に関する諸問題
○12月6日 21世紀の日本のあるべき姿  テーマその他未定
【地方公聴会】
◇日時 11月26日
◇開催地 東海ブロック(愛知県)
◇公述テーマ「国際社会における日本の役割」
◇公述人6人(東海4県の在住者から公募) 11月12日締め切り

=好評普及中=
『憲法9条関連資料集』

   10日間で800部突破

 憲法会議編集・発行『21世紀を「平和の世紀」にするために 憲法第9条関連資料集』は、完成から10日間で800部を超える活用がはかられています。今国会における「テロ対応策」にはじまって次の通常国会にむけて強まる第9条攻撃とたたかう学習・宣伝の有効な武器となるものです。

 【目次】
《解説》第9条擁護の世論と共同を

  • 日米軍事同盟強化への道
  • 米同時テロへの対応措置
  • 有事法制をめぐる動き
  • 集団的自衛権をめぐるうごき
  • 第9条をめぐるその他の動き
  • 第9条改悪の動きと世論
  •  B5版76頁 千円(〒180)