憲法しんぶん速報版

28号

9条の命運かかった参院選

各党の選挙公約等の点検を

 小泉首相が集団的自衛権行使の「研究」を表明するなど、憲法、とりわけ第9条の改悪をめぐる論議が広がるなか、参院選がはじまりました。21世紀の日本と世界に憲法を輝かすことができるかどうかがかかった選挙戦です。そこで、各党が発表している公約を中心に、各党の憲法にたいする姿勢をみてみました。

改憲案作成を公約に

 【自民党】3月の党大会の決定をそのまま参院選の「重点政策」にとりいれました。そこでは、「わが国が国際社会の一員として直面する国際平和への協力、地球環境、遺伝子解明に伴う生命倫理、インターネット時代のプライバシーの保護など、未経験の諸課題を考慮しながら、日本国の歴史、伝統、文化を踏まえ、調和のとれた国民の権利と義務を規定する等、21世紀日本の目指すべき指針と国の形をオープンに議論し、『あるべき国家の姿』を国民の前に明らかにします」と、改憲案作成を表明しています。

集団的自衛権の行使については、すでに党国防部会で「国家安全保障基本法」を制定して容認する方向での検討を開始しています。

小泉内閣ささえる与党として

【公明党】選挙公約で直接改憲問題にふれていませんが、昨年秋の党大会で決定した「重点政策」では、「衆参両院での憲法調査会での5年をめどにした論議の結果を踏まえ、次の5年で第一段階としての結論を出すべき」と、10年以内の改憲を打ち出しています。

また、「国連だとかあるいは国連軍に近い形としての多国籍軍というもの、いわゆる集団的安全保障というものに対して日本がかかわることについては憲法にもう少しはっきり明確に書くべき」(赤松正雄議員、昨年12月7日、衆院憲法調査会)、「(集団的自衛権が行使できないという解釈は)冷戦時代に日本がとった解釈」であり「政策的判断で状況が変われば変えることができるはず」(益田洋介議員、6月7日参院外交防衛委)と、9条問題で踏み込んだ明文・解釈改憲の発言が目立っています。

【保守党】「参院選政策」として発表した文書は、「小泉内閣を全力を挙げて支え、経済構造改革を始め、聖域なき構造改革を断行するとともに、日本の良き文化・伝統・歴史を大切にし、共同体としての責任と社会的正義を大事にする活力の中にも安定感のある『堂々たる21世紀の新しい日本』をつくります」と述べただけの短いものです。衆院憲法調査会では「戦後平和が保たれたのは安保条約のおかげで、憲法のためではない」(安倍基雄議員)と述べるなど、憲法改悪の姿勢鮮明に。

党首が9条改憲強調

【民主党】「選挙政策」で改憲問題に直接言及していませんが、PKF凍結解除や緊急事態法の制定、首相公選制の検討などをかかげています。また、鳩山党首は「本来、集団的自衛権はもっていると考えるが、憲法の中でそれもしっかりうたったほうが、本当はいい」(昨年10月テレビで)と語っています。

明文改憲を公約に

【自由党】選挙公約に、「国家の基本となる新しい憲法を創る」を掲げています。すでに昨年12月、「新しい憲法を創る基本方針」を発表し、「自衛隊の権限と機能、内閣総理大臣の指揮権を憲法に明記」するなどとしています。

「自衛隊合憲」の基本変わらず

社民党】選挙政策では、「平和憲法の理念を世界に拡げ、軍事力によらない平和を実現します」とし、「自衛隊の縮小」「日米安保体制の転換」などを強調しています。しかし、村山委員長時代からの自衛隊合憲・安保容認の方針は転換されておらず、あくまで、現状のもとでの改革を主張するにとどまっています。

自衛隊の段階的解消主張

【共産党】国会に議席をもつ政党では唯一、自衛隊を違憲とみなす政党として、参院選の重点政策では、「憲法を生かし、平和・人権・民主主義の花ひらく日本にします」を掲げ、「憲法9条の改悪に反対する国民的共同をよびかけます」「国民の納得と合意で段階的に自衛隊=軍隊をなくし、憲法9条の完全実施をめざします」などとしています。

話し合いの武器に

  憲法リーフできます

 憲法リーフ「生かそう憲法、高くかかげよう第9条 21世紀の日本と世界に」が17日できあがります。
 内容は、半分が「くりかえすまい戦争への道 第9条は21世紀の世界の道しるべ」と、9条改悪をめぐる動きや世論調査、俳優の吉永小百合さん、加藤剛さんのメッセージ。もう半分は「くらしも権利も憲法を生かして」と生活(25条)、教育(26条)、働く権利(27、28条)を条文入りで解説。
 B4版を4つ折り、2色刷り。全労連と共同発行。1部30円。