<日本共産党第23回大会へのあいさつ>      
憲法守れ まさに正念場
憲法改悪阻止各界連絡会議事務局長 川村 俊夫
 まず最初に、内外の情勢が激動するなか、しかも43年ぶりに綱領の大改定がおこなわれるというこの歴史的な大会で、ごあいさつの機会をいただいことに、感謝を申しあげます。
 憲法会議は、この三月で結成三九周年を迎えますが、いま私たちは、戦後最大の憲法改悪の攻撃にたいし、組織の存在意義をかけたたたかいを展開する決意で、その体制づくりをすすめています。そのなかでも私たちは、日本国憲法、とりわけ第九条にたいする日本国民の想いは、特別のものがあるということをあらためて実感させられています。
 私たちはいま、憲法九条の条文を印刷したポスターをつくり、普及の取り組みをしていますが、さまざまな意見・感想が寄せられてきています。「しんぶん赤旗」でも紹介していただいた長野県の新聞労働者は、同級生や町会議員に、どこでもいいから張ってくれと、ポスターを配っていますが、ある無所属の町会議員は裏張りをし、雨よけをつけて自分の畑の目立つと立ててくれたそうです。また福井県の男性は、市役所にいってわざわざ検印を受け、道路沿いに100枚のポスターをはりだしたそうですが、張り出し期間がわずか1ヶ月しかない、全国でもこうか、と電話で問合せてきました。福岡からは、自分は介助なしに外出できない体だか、自分の部屋と自分の家のドアの外側に張って、来客に見てもらっているという手紙をいただきました。
 一人ひとりが、この憲法にそれぞれの想いと、願いをこめて行動に立ち上がっているのではないかと思います。それは、日本国憲法には、戦前のあの暗黒の社会においても、平和で民主的な日本の未来がくることを信じ、文字どおり命がけでたたかった日本共産党の先輩の皆さんをはじめとする進歩的な方々の努力の結晶、そして、日本国民310万人、アジア諸国民の二千万人の尊い犠牲が刻み込まれているからではないでしょうか。この憲法を守り抜き花開かせていくことは、私たちの責務だと思っています。
 同時に、この憲法には、人類社会の進歩と発展、戦争違法化に向けての努力の到達点も刻みこまれています。この到達点をさらにすすめるための努力が、いま、アメリカのイラク戦争に反対する空前の規模の世界の反戦運動のなかで、また、相互の尊重と紛争の話し合いによる解決によってアジアを平和の地域にしようとするASEANなどの取り組みのなかで、大きな流れとなっています。この世界の大きな流れのなかで、自衛隊をイラクに派兵し、憲法9条の改悪までしようとしている日本の動きを、とりわけアジアの人びとは固唾をのんで見守っています。平和なアジア、平和な世界をつくっていくためにも憲法九条を守りぬくことは私たちの国際社会にたいする責務だと考えています。
 こんにちの憲法改悪の動きは、決して国民の願いから出ているものではありません。私たちは、平和を願い、自由と民主主義を願っている国民の「心」を結集すれば、必ず改憲勢力の野望を打ち砕くことができると確信しています。しかし、ぼうだいなマスコミの宣伝のなかで、「環境権のためなら」、「プライバシー権のためなら」と改憲に傾く傾向があることも軽視してはいません。私たちの事務所には、「アメリカからおしつけられた憲法、自分の国を自分で守らない無責任な憲法を、貴方たちはなぜ一生懸命守ろうとしているのですか」ということを、大まじめに質問するメールも入ってきています。
 私たちは、こうした素朴な疑問に応えることも含め、すべての団体の支部・分会・班、そして全国のあらゆる地域で壮大な憲法学習運動を展開するつもりで、いま、自由法曹団や労働者教育教会、憲法学者の方々と1000人規模の講師団をつくる準備をすすめています。
 同時に、「憲法9条守れ」の世論と運動を飛躍的に広げるためには、文字通り国民的な共同を実現することが急務になっています。この点では、憲法改悪の動きが強まったここ数年、私たちは、広範な市民団体、宗教団体などと実行委員会をつくり、5月3日には、日本共産党の志位委員長、社民党の党首にもご参加をいただき、盛大に憲法記念日の集会を開いてきました。そして今年は、5月3日の集会だけにとどめず、この23日には「憲法改正国民投票法案」に反対する院内集会を開くことや、共同のポスター、ロゴ・マークをつくることも決めています。しかし、これはほんの「足かがり」であって、文字通り国民の過半数を結集できる国民的共同が必要だと考えています。
 21世紀の日本の進路を大きく左右する憲法改悪を阻止するたたかいは、まさにこれから正念場を迎えます。私は、戦前からの平和と民主主義のたたかいの伝統を引き継いでおられる皆様方が、このたたかいにおいても牽引車の役割
を発揮してくださることを期待し、確信しています。そのためにも、この大会が大きく成功することを熱く期待していることを申しあげて、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。