新憲法起草委員会各小委員会要綱 自民党新憲法起草委員会(2005年4月4日) |
【前文に関する小委員会・要綱】
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新たな憲法前文の草案は、自由民主党の主義主張を堂々と述べながら、広く国民の共感を得る内容とする。
A
現行憲法から継承する基本理念(国民主権、基本的人権、平和主義)をより簡潔に記述し直すとともに、現代および未来の国際社会における日本の国家の目標を高く掲げる。
B
現行憲法に欠けている日本の国土、自然、歴史、文化など、国の生成発展についての記述を加え、国民が誇り得る前文とする。
C
「なぜ今、新憲法を制定するのか」という意義を前文で明らかにする。戦後六十年の時代の進展に応じて、日本史上初めて国民みずから主体的に憲法を定めることを宣言する。
D
憲法前文の文体が翻訳調、生硬、難解であるのに対し、新たな前文は正しい日本語で、平易でありながら一定の格調を持った文章とする。
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国の生成 ・アジアの東の美しい島々からなるわが国は豊かな自然に恵まれ、国民は自然と共に生きる心を抱いてきたこと。 ・日本国民が多様な文化を受容して高い独自の文化を形成したこと。我々は多元的な価値を認め、和の精神をもって国の繁栄をはかり、国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできたこと。 ・日本国民が先の大戦など幾多の試練、苦難を克服し、力強く国を発展させてきたこと。
A
国の原理 ・日本は国民が主権を有する民主主義国家であり、国政は国民の信託に基づき、国民代表が担当し、成果は国民が受けること。 ・自由、民主主義、人権、平和の尊重を国の基本理念とすること。 ・我々は、自由、民主主義、人権、平和を基本理念とする国を愛し、その独立を堅持すること。 ・日本国民は人権を享受するとともに、広く公共の福祉に尽力すること。
B
国の目標 ・内にあっては、自由で活力に満ちた経済社会を築くとともに、福祉の増進に努めること。経済国家にとどまらず、教育国家、文化国家をめざすこと。中央集権を改めて地方自治を尊重すること。 ・外に向けては、国際協調を旨とし、積極的に世界の平和と諸国民の幸福に貢献すること。地球上いずこにおいても圧政や人権侵害を排除するための不断の努力を怠らないこと。地球環境の保全と世界文化の創造に寄与すること。
C
結語 ・明治憲法(大日本帝国憲法)、昭和憲法(現行日本国憲法)の歴史的意義を踏まえ、日本史上、初めて国民自ら主体的に憲法を定める時機に到達したこと。 ・日本国民およびその子孫が世界の諸国民と共に、更なる正義と平和と繁栄の時代を生きることを願い、国の根本規範として、国民の名において、新たな憲法を制定すること。 【天皇に関する小委員会・要綱】
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前文との関連 天皇がわが国の歴史、伝統及び文化と不可分であることについては共通の理解が得られたが、前文においても「天皇」について言及するべきか否かについては、賛否両論があった。
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本則中の位置づけ 天皇の規定は、現行どおり第一章に位置づけること。 現行の象徴天皇とする。 なお、元首と明記すべきとの意見もあった。 皇位継承資格や継承順位については皇室典範において規定すること。 なお、皇室典範については、有識者会議の意見を参考にすること
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国事行為の表現の明確化について 国事行為中「国会議員の総選挙(7条4号)のように、文言の不正確な点を修正すること。
○
「公的行為」について 憲法に定める「国事行為」と私人としての「私的行為」以外の皇位として、「象徴としての行為(公的皇位)」が幅広く存在することに留意すべきである。 【安全保障及び非常事態に関する小委員会・要綱】 1 戦後日本の平和国家としての国際的信頼と実績を高く評価し、これを今後とも重視することとともに、我が国の平和主義の原則が不変のものであることを盛り込む。さらに、積極的に国際社会の平和に向けて努力するという主旨を明記する。 2 自衛のために自衛軍を保持する。 自衛軍は、国際の平和と安定に寄与することができる。 3 内閣総理大臣の最高指揮権及び民主的文民統制の原則に関する規定を盛り込む。 検討事項 2 非常事態 3 安全保障基本法 4 国際協力基本法 【国民の権利及び義務に関する小委員会・要綱】
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権利と義務の規定の全体について
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基本的人権と国民の義務に関する10条から40条に関しては、おおむね存置することとするが、A以降の点については修正を加えるべきである。
○
各条文の主語が、「すべて国民は…」や「何人も…」であったり、主語がなかったりとまちまちであるので、この際、主語を整理すべきである。
○
「個人の権利には義務が伴い、自由には責任が当然伴う」との趣旨の文言を前文に明記するか、現行12条(自由、権利の保持義務)で言及すべきである。
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前文に関する小委員会との調整が必要。
A
基本的人権の不可侵規定(11条)について
○
第10章の最高法規を削除することとなった場合は、97条(基本的人権の由来特質)の規定は、11条に包含すること。
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改正及び最高法規に関する小委員会との調整が必要
B
公共の福祉(12、13条)について
○
現行の「公共の福祉」の概念は曖昧である。個人の権利を相互に調整する概念として、または国家の安全と社会秩序を維持する概念として明確に記述すべきである。
○
「公共の福祉」の概念をより明確にするため、「公益」あるいは「公の秩序」などの文言に置き換える。
○
「すべての国民は、個人として尊重される」に加えて、「自己の尊厳を保持しなければならない」ことを追加する。なお、「自己の尊厳」については、前文に書くべきとの意見もある。
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前文に関する小委員会との調整が必要。
C
平等の原則(第14条)について
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「人種、信条、性別、社会的身分」に加えて、「障害の有無」によっても差別されないことを付け加える。
○
「門地」は過去の華族、士族、平民などの身分制を指すが、実態がないことや、広い意味の社会的身分に吸収されるため、削除すべきである。
D
権利規定で一部修正すべき点 a.信教の自由(20条)について
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政教分離原則は維持すべきだが、一定の宗教的活動に国や地方自治体が参加することは、社会的儀礼や習俗的・文化的行事の範囲内であれば、許容される。 *国などが参加する一定の宗教的活動としては、地鎮祭への関与や公金による玉串料支出、公務員等の殉職に伴う葬儀等への公金支出などが考えられる。なお、社会的儀礼の範囲を超える多額の公金支出は認められない。 *89条(公の財産の使用制限)のうち、「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益、維持のため」公金を利用してはならないとの条文を変更すべきだが、財政に関する小委員会との調整が必要。
○
国や地方自治体は、特定の宗教や宗派を教育することは出来ないが、一般的な宗教に関する教育は実施できる。 *「一般的な宗教に関する教育」とは、それぞれの宗教が持つ特徴や文化的・歴史的要素、あるいは社会や日常生活における宗教の役割などを教えることであり、特定の宗教や宗派を教え、その信仰を強要して改宗を迫るものではない。 b.表現の自由(21条)について ○ 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障されるが、青少年の健全育成に悪影響を与えるおそれのある有害情報や図書の出版・販売は、「公共の秩序」に照らして、法律によって制限されうることを追加する。 *「思想・表現の自由」は基本的人権の中でも最も重要な概念であるが、有害図書の氾濫という現状を考えるとその一部制限はやむをえない。 c.結社の自由(21条)について ○ 暴力的破壊活動を行う結社、あるいは犯罪を目的とする結社は、「公共の秩序」に照らして、法律により制限されうることを追加する。 d.財産権(29条)について ○ 第1項の「財産権は、これを侵してはならない」を、「財産権は保護されるべきだが、土地に関しては現在及び将来の国民のための限られた資源であることに鑑み、公益が重視されるべきである」という趣旨の文言に換える。
○
財産権が一部制限される目的として、「公益」の維持に加え、「良好な環境(景観を含む)の保護」を加える。
D
追加すべき新しい権利規定 a.国民の知る権利(情報アクセス権) ○ 国及び地方自治体は、その諸活動を国民に説明する責任を有する。 ○ 国民の国などに対する情報開示請求権を明記する。その要件は法律によって規定される。 b.国民の個人情報などを守る権利 ○ 国民の個人情報や肖像権及び名誉は、保護されなければならない。 ○ 国や地方自治体、ならびに法律によって定められた情報管理者は、国民や家庭の個人情報を保護しなければならない。 c.犯罪被害者の権利 ○ 犯罪被害者及びその家族・遺族は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇が保証されなければならない。(犯罪被害者等基本法の理念からの引用) *現行憲法は犯罪加害者や刑事被告人の権利擁護(33〜40条)に偏っており、被害者の権利を守るためには従来の基本的人権規定の適用だけでは十分ではない。被害者の人権擁護の必要性を明記してバランスを確保すべきである。 d.環境権 ○ 国民は、現在から将来に亙って、「公益」に反しない限り、良好な環境の下で生活する権利を有する。 *産廃の不法投棄や汚染物質の流出、さらには地球温暖化の脅威などに対抗して、良好な環境の下、健康で文化的な生活を享受するためには、25条の生存権の規定だけでは不十分である。 e.知的財産権
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29条の一般的財産権にあわせて、知的創造力を高め、活力ある社会を実現するため、知的財産を保護する制度の整備に努めることを国に課する。 f.司法への国民参加 ○ 裁判員制度の施行(平成21年度)に伴い、司法への国民参加(権利と義務の両方)に関する規定を置く。 *この義務については第6章の司法の部分で述べるべきとの意見もあるが、司法に関する小委員会との調整が必要。
E
追加すべき新しい責務 *国民一人ひとりが主人公として国づくりに参加する中で、その責任を自ら進んで分担することを明らかにする趣旨で、「責務」という文言を使う。これは裁判所において具体的に強制することが可能な「義務」ではなく、幅広く抽象的な訓示規定を意味する。 a.国防の責務 ○ 国家の独立と国民の安全は、国の責務であると同時に、国民の不断の努力により保持されなければならない。 *「国防の責務」は具体的条文に規定するよりも、前文に記述したほうが望ましいとする意見もあるが、その際は前文に関する小委員会との調整が必要。 b.社会的費用を負担する責務 ○ 国民は納税の義務(30条)に加えて、社会保障制度の保険料など社会的費用を負担する責務を有する。 *25条の生存権の条項に入れ、「国が社会福祉、社会保障の向上に努める際、国民も社会的費用の負担によって協力する責務を有する。」とする意見もある。 *この責務は法律事項に落とすべきとの意見もある。 c.家庭等を保護する責務 ○ 国民は夫婦の協力と責任により、自らの家庭を良好に維持しなければならない。 ○ 国民は自己の保護下にある子どもを養育する責務を有するとともに、親を敬う精神を尊重しなければならない。
○
国及び地方自治体は、家庭の社会的、経済的及び法的保護を保証しなければならない。
○
国民は相互の協力と参加により、地域社会の秩序を良好に維持しなければならない。 *これらの責務は具体的条文に規定するよりも、前文に記述したほうが望ましいとする意見もあるが、前文に関する小委員会との調整が必要。 *一方、これらの責務を24条(家族関係における個人の尊厳と両性の平等)に加えるという案、法律条項に落とせばよいとする案もある。 d.生命の尊厳を尊重する責務 ○ 国民は生命の尊厳を尊重しなければならない。 ○ 国は、生殖医学や遺伝子技術の濫用(例えばクローン人間の製造など)から、生命の尊厳を保護しなければならない。 *前文に記載すべきとの意見もあるが、前文に関する小委員会との調整が必要。 e.憲法尊重擁護の義務 ○ 第10章の最高法規を削除することとなった場合は、99条(憲法尊重擁護の義務)は、第12条で国民の立場に加えて、為政者の立場で憲法尊重擁護義務を触れるか、あるいは前文で触れるべきである。 *改正及び最高法規に関する小委員会、及び前文に関する小委員会との調整が必要。 f.環境を保護する責務 ○ 国及び地方自治体は、国民に対して良好な環境を維持する義務を負う。 ○ 国及び地方自治体がこの責務を遂行する際、国民は環境保護の重要性を認識し、国などに協力する責務を有する。 【国会に関する小委員会・要綱】 (※印を付した論点は、内閣に関する小委員会における議論と関連した項目であることを示す。)
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なお、一院制とすべきとの意見があった。 2.二院制とする場合は、参議院の決算審査の充実など両議院の役割分担・議員の選出方法について見直すべきであるとの意見があった。 ※1 内閣総理大臣の選出等について 現行どおりとすること。 ※2 国務大臣の任命について 現行どおりとすること。 *なお、国務大臣は全員国会議員でなければならないとする等の意見があった。 ※3 衆議院の解散要件について 衆議院の解散については、@現行どおりでよい(いわゆる7条解散を認める)とする意見と、A衆議院を解散できるのは、現行憲法69条の場合に加えて、本予算案又は内閣提出の重要な法律案が成立しなかったときに限るものとすべきであるとの意見があった。 ※4 内閣の法案提出権について 現行どおりとすること。 ※5 国務大臣の議院出席義務について 内閣総理大臣その他の国務大臣の議院又は委員会への出席義務を緩和し、「職務遂行上出席が困難な事情」がある場合には、「職務代行者(副大臣等)」を代理出席させることができることとすること。 議事の定足数の規定は廃止し、議決の定足数のみの規定とすること。 四 政党の位置づけについて 政党について憲法に位置付けるべきであるとの意見があった。 【内閣に関する小委員会・要綱】 ※印を付した論点は、国会に関する小委員会における議論と関連した論点であることを示す。 1 行政権の主体について 「衆議院の解散権」、「自衛隊の指揮権」及び「行政各部の指揮監督・総合調整権」の3つを内閣総理大臣個人に専属させることにし、残余の権限は現行どおり内閣に属するものとすること。 2 いわゆる独立行政委員会について 独立行政委員会が内閣に対して高度の独立性を有していることについてはそれが悪影響を及ぼしているのであればその弊害を除去するべく、各根拠法律の改正等により対処するものとすること。 ※1 内閣総理大臣の選出等について 現行どおりとすること。 ※2 国務大臣の任命について 現行どおりとすること。 なお、国務大臣はすべて国会議員でなければならないとする等の意見があった。 衆議院の解散については、@現行どおりでよい(いわゆる7条解散を認める)とする意見と、A衆議院を解散ができるのは、現行憲法69条の場合に加えて、本予算案又は内閣提出の重要な法律案が成立しなかったときに限るべきとの意見があった。 四.内閣の権能について ※1 内閣の法案提出権について 現行どおりとすること。なお、その場合でも、内閣法制局の法案審査の在り方については、見直しを進めること。 2 政令の制定(73条6号)について 73条6号を改正し、国民の権利及び義務に関する事項は、法律で定めることとし、政省令等は、法律の個別の委任がある場合に限り、制定することができるものとすること。 また、国会が、必要に応じて、政省令等の内容をチェックすることができるようにする仕組みを、法律において定めるものとすること。 ※五.国務大臣の議院出席義務について 内閣総理大臣その他の国務大臣の議院又は委員会への出席義務を緩和し、「職務遂行上出席が困難な事情」がある場合には、「職務代行者(副大臣等)」を代理出席させることができることとすること。 「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う(763条柱書き)」の「他の一般行政事務の外」を削除すること。 【司法に関する小委員会・要綱】 (1)最高裁判所裁判官の現行の国民審査制度(79条2項) @ 最高裁判所裁判官の国民審査制度は、改める。 *最高裁判所裁判官の適格性審査については、国民審査制度を抜本的に改革する、弾劾裁判所の機能強化を図るなどの意見と、国会、特に参議院において任命・承認を行うという意見があった。司法権独立に対する配慮や民主的基盤の確保という点から検討が必要である。 (2)裁判官の任命・任期など(79条、80条)
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裁判官の任命・任期は現行どおりとする。 *なお、最高裁判所裁判官については、任期を10年とし、再任されないとすべきとのとの意見があったが、任期10年を超えた裁判官は最高裁創設以来6人で、昭和32年以降は皆無であることから、憲法上再任すべきでないと明記する必要はないと思われる。 (3)裁判官の報酬(79条6項、80条2項) @ 現行憲法79条6項及び80条2項に、経済情勢又は財政状況により公務員の給与が一斉に引き下げられる場合など、司法権の独立を不当に侵害するとはいえないような場合には、裁判官の報酬を減額することができる旨の明文規定を置く。 (1)違憲審査制のあり方(81条)
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憲法裁判所は、設けない。 *違憲審査制の機能強化を求める意見もあったが、国会が国権の最高機関であるという規定(41条)との関係もあり、憲法裁判所設置については、慎重意見・反対意見が多数を占め、現行の付随的審査制維持が多数であった。 (2)軍事裁判所について(安保小委関連) @ 軍事裁判所設置については、第9条改正に伴い設置すべきとの意見もあったが、最高裁判所を終審とする軍事裁判所を設けることは、現行憲法の改正を必要としないのではないかと思われる。 (3)行政訴訟について @ 行政訴訟については、憲法事項とせず、法律事項とする。 (改正行政事件訴訟法の4月1日施行) (1)裁判の迅速化について @ 民事事件においても迅速な裁判を受ける権利を有する旨の明文規定を置くべきとの意見と慎重意見があり、結論に至らなかった。(国民の権利・義務小委関連) (2)司法への国民参加について(国民の権利・義務小委関連) @ 司法への国民参加に関する明文規定を置くべきとの意見があったが、これを司法の章に置くべきか、国民の権利及び義務の章に置くべきかについては、調整が必要である。 (3)裁判の公開について(82条1項・2項) @ 裁判の公開原則の見直しを求める意見があったが、現行憲法82条2項において、「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる」と規定されているため、公開原則の見直しのために憲法を改正する必要はない。 ただし、軍事裁判所設置の場合には、軍事裁判所の審理を原則非公開とする法律上の手当てが必要となる。 【財政に関する小委員会・要綱】 健全財政に関する訓示的な規定を憲法上置く。 予算が成立しなかった場合に、必要最小限の支出が行われるよう憲法上に規定を置く。 財政民主主義の観点から単年度主義の原則は維持しつつ、年度を跨る手当てが必要なものについては、現在法律で規定されている継続費等の制度を活用し、その弾力的な運用で対応する。 現行でも合憲とされている私学助成については、違憲の疑念を抱かれないような表現とする。 ・ 決算審査の充実、予算へのフィードバック、予算執行面の透明性の向上を図る観点から、決算について、国会の役割を明確化する規定を憲法上に置くとともに法律上の手当てを行う。 ・ 会計検査院の位置付けについては、現行どおり独立性を確保する。 【地方自治に関する小委員会・要綱】 1 地方自治体は、住民の福祉を増進するため、地域における行政を住民相互の協働に基づき自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うとともに、これに伴う責任を果すこととすること。 2 住民は、その属する地方自治体の役務をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負うとともに、その地方自治体の運営に参画するように努めることとすること。
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国は、地方自治体の役割を尊重することを基本としてその本来果すべき役割を適切に担い、国と地方自治体は、それぞれの役割分担を踏まえ相互に協力することとすること 地方自治体に関する法律は、住民自治と団体自治を基本とする地方自治の本旨に基づいて定めることとすること。 地方自治体は、事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で、条例を制定することができることとすること。 【第一案】 1 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例、予算その他の重要事項を議決する機関として、議会を設置することとすること。 2 地方自治体の議会の議員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙することとすること。 3 地方自治体の長は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の直接選挙その他の民主的な方法により選出することとすること。 【第二案】 1 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例、予算その他の重要事項を議決する機関として、議会を設置することとすること。〔第一案の1と同じ〕 2 地方自治体の長、その議会の議員および法律の定めるその他の公務員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙することとすること。 1 地方自治体は、基礎自治体及びこれを包括し、補完する広域自治体とすることとすること。〔第一案の1と同じ〕 地方自治特別法に対する住民投票制度(95条)は、廃止することとすること。 一 「地方自治」の前文への明記について 新憲法草案の前文には、「地方自治」に関する記述を盛り込むべきであるとの意見が多く出された。 二 法律又は条例の規定に基づく住民投票制度について 法律又は条例の規定に基づく住民投票制度の在り方については、地方自治体における議会の役割との関係等を整理し、法律において、適正にこれを位置づけるよう検討するべきであるとの意見が多く出された。 【改正及び最高法規に関する小委員会・要綱】 【改正規定について】 <国会の発議> ・ 憲法改正案の原案の提案権を国会議員に限定する。 ・ 国会による発議の要件については、「各議院の総議員の過半数の賛成」に緩和する。 ※ この点については、天皇制、平和主義、基本的人権、改正手続など、憲法の基本に関わる規定の改正の発議はより慎重な手続で行うべきとの有力な意見もあった。 <国民投票による承認> ・ 現行上、憲法改正には必ず国民投票を行わなければならないとされている点(強制的国民投票制)については、これを維持する。 ・ 国民投票については、特別の国民投票として行うことに限定する。 ・ 国民投票における承認の要件は、「有効投票の総数の過半数の賛成」とする。 <天皇の公布> ・ 天皇による公布の規定は、現行のまま維持する。 【最高法規】 最高法規の章については、現行のまま維持する。 |